盆暗の学習記録

データサイエンス 、ソフトウェア開発、ビジネスについて日々学んだことの備忘録としていく予定です。初心者であり独学なので内容には誤りが含まれる可能性が大いにあります。

モンハンワイルズに学ぶUI設計

皆さんはモンハンしてますでしょうか。 私はかなりハマっております。歴戦王のチャレンジクエストの実装が楽しみですね。

モンハンワイルズ、ゲームとしては楽しいのですが、UIがイマイチというか、とてもストレスフルに感じております。

私自身もWebアプリを開発していくなかでクソUIを量産していると思うのですが、モンハンで遊ぶことはユーザー側の気持ちを体感するよい機会になっています。

本記事ではモンハンワイルズのUIのどこがストレスに感じるのかをユーザー目線で言語化し、反面教師として開発者目線で 「自分がUIを作るときはここを気をつけよう」 というポイントを考えてまとめていきたいと思います。

(※なお筆者は「キーボード+マウス」でプレイしております。もしかしたらPS5ならあまり違和感ないかもしれません)

操作に一貫性をもたせる

❌イマイチなところ:操作に一貫性がない

例1:通常、マップはMキーで開くのですが、「マップ上にモンスターが出現した」 「モンスターが立ち去りそう」などの マップと関連する内容の通知が出ているときは 「マップを開くボタン(Mキー)」を押してもマップが開きません 。通知のToastが出ている間(通知の個数×数秒間の間)は マップを開くためには「通知を開くボタン(Yキー)」を押す必要があります

例2:メニューから選択肢を選ぶとき、多くの画面では移動するボタン(WASDキー)で選択肢を選ぶことができます(キャンプ内など)。

しかし、 NPCに話しかけて開くタイプのメニューでは移動するときのボタンは使えなくなります(WASDではなくマウスで選ぶことになります)

慣れの問題でもあるのですが、150時間プレイした現時点でも未だに慣れないUIです。

⭕️気をつけたい点:操作の一貫性と予測可能性

この点から学べることは「一貫性と予測可能性をもたせたUIにすること」です。

  • ✅ユーザーがある画面で使えた操作方法は、他の類似画面でも使えるようにする
  • ✅普段使えている機能が特定の状況下でひっそりと(ユーザーに予測不可能な形で)無効化されないようにする
  • 例:通知が出ていてもマップは常に「M」で開けるようにする

参考:

blog.nijibox.jp

www.uxpin.com

原則、オブジェクト指向のUIにする

❌️イマイチなところ:タスク指向のUI

例えばアーティア武器を強化するときのUIは

  1. メニューから武器の強化(アクション・タスクの選択)を選ぶ
  2. 強化したい武器を選ぶ(オブジェクトの選択)

といった具合になっています。

更にいうと「生産」と「強化」と「解体」というアクションもそれぞれ別だし強化と解体は1階層深くにネストしているので、1つの同じ武器を生産して強化して解体したい場合(今作はこのシチュエーションに多く遭遇します)は

  1. 生産する
  2. 最初のメニューに戻って強化の画面に入る
  3. 強化する武器を選んで強化する
  4. またメニューに戻って解体の画面に入る
  5. 解体する武器を選んで解体する

という多くのステップを踏むことになります。

⭕️気をつけたい点:まずオブジェクト指向のUIを検討する

オブジェクト指向UIとは、ざっくりいうと操作する対象(オブジェクト)をまず選んで、それからタスク(アクション)を選ぶようなUIです。例えばECサイトにおける「商品ページに行く → カートに入れる」みたいなUIです。対義語がタスク指向UIです。

  • ✅ ユーザーが対象(武器・防具など)にすぐアクセスできるようにする
  • ✅ アクションはそのオブジェクトの文脈で選べるのが理想
  • ⚠️ ただし常にオブジェクト指向がいいわけでもない
  • 例:武器をまず一覧で選んで、そこから強化・解体などを選べる導線にする

参考:

blog.nijibox.jp

繰り返し発生する操作には「一括操作ボタン」をつける

❌️イマイチなところ:一括受け取りボタンが足りない

モンハンは素材や薬など様々な消費アイテムが存在し、定期的に受け取れる or 購入できる機会が発生します。 受け取らないと損なのでほとんどのプレイヤーは全部受け取ろうとすると思うのですが、一括受け取り / 全選択 みたいなUIが無い箇所も多く、繰り返し操作が発生します。

例1:ナタの「素材採集依頼」メニューではNPCが集めてくれた全地域の素材を 一括受取するボタンがなく 、地域ごとに受け取る必要があります。しかも受け取り後は収集依頼アイテムの 設定変更画面に自動で遷移 します。常に設定を変更するとは限らないので受け取りだけしてくれればいいのに…。

例2:支援船のアイテムを一括購入あるいは一括選択するボタンがありません。そのため (1) アイテムを選ぶ、(2) 個数を選ぶ、 (3) 購入しますか?→はいを選ぶ、という操作を全部のアイテムについて繰り返す必要があります。

❌️イマイチなところ:ガチャを10連で引けない

ワイルズでは通常の武器より強い「アーティア武器」という武器のカテゴリがあり、生産して「復元強化」をするとランダムな能力が付くという いわゆる「ガチャ」のシステム になっています。

ガチャなので目当ての能力が付与された武器を偶然手にするまでは 何十回・何百回と武器の生産・強化・解体をしないといけないわけですが、現状は1本ずつしか生産・強化・解体ができません 。また生産は素材の組み合わせを考えて3つのパーツを選択して生産する必要がありますし、強化と解体もタスク指向UIのために操作が煩雑で、 ガチャを1回引くのに要する手間(操作回数)が多い 状態です。

多くの場合1タップでガチャを引けるソシャゲのガチャですら10個一括でガチャを引く「10連ガチャ」が用意されているにもかかわらずワイルズには10連がないため、主要なエンドコンテンツがとてもストレスフルなものになっています。

⭕️気をつけたい点:繰り返し発生する操作は一括操作機能など効率化できる機能をつける

  • ✅ 繰り返しが発生するUIには一括操作機能を提供する
    • 全選択、一括受け取りなど
  • 「ユーザーにとって単調で退屈な繰り返し操作が発生していないか?」を考えてUIを設計する

まとめ

ワイルズを遊んでいて「自分がUIを作るときは気をつけたい」と思った点は次の3点になります:

1️⃣ 一貫性と予測可能性をもたせ、ユーザーに直感的な操作を可能とさせる

2️⃣ 原則、オブジェクト指向のUIにする

3️⃣ 繰り返し操作する必要がある箇所に一括操作ボタンを導入するなど、ユーザーの負担を減らす仕組みを検討する

また、1️⃣や3️⃣を考えるうえではユーザーの気持ちになって考えることが重要になってくるのかなと思います。ユースケースないしカスタマージャーニーについて深く思いを巡らせることが大事なのかなと思いました。