CREPE(東京大学政策評価研究教育センター)をご存知でしょうか。
CREPEは日本の実証に基づく政策立案(Evidence Based Policy Making:EBPM)の推進のために,政策評価(Program Evaluation)の研究や,専門知識をもった人材への実証分析の手法の普及(統計的因果推論・計量経済学のセミナー)などを行っているところです。
そのCREPEが掲載しているCREPEフロンティアレポートシリーズ(以下CREPEFR)という,研究結果の要点をまとめて解説したコラムがあります。
「計量経済学(統計的因果推論)の分析の実例を知りたいけど,論文全文じゃなくて要点だけ知りたい!」という私のような人間にはぴったりで,こういうのは本当にありがたいと思います。
現在7つの記事があり,医療,社会保障,金融,人間関係の形成,人間の意思決定(あるいはマーケティングサイエンス?)など,幅広いテーマをターゲットにしています。
- CREPEFR-1: ライフサイクルを通した医療費の定量的評価
- CREPEFR-2: 福島第一原発事故による避難指定区域外の「見えざる被害」に迫る
- CREPEFR-3: コミュニティ・ユニオンにおける協調達成のメカニズム:世代重複型のくり返しゲームによる解明
- CREPEFR-4: 資産バブル、内生的成長、金融市場の摩擦
- CREPEFR-5: 時間・混雑プレッシャーがかかる中で商品オススメに効果はあるのか?
- CREPEFR-6: 保育所拡充の就業支援が効果的なのはどんな家庭の母親か?
- CREPEFR-7: 保育所は幼児教育の場として子どもと親にどのような影響を及ぼすか?
進学せず就職してデータサイエンティストになる身としては,Aamazonのデータサイエンティスト(という呼び方が適切かはわかりませんが)の渡辺安虎氏も関わっておられる「CREPEFR-5: 時間・混雑プレッシャーがかかる中で商品オススメに効果はあるのか?」がビジネス寄りのテーマで特に面白いなと思いました。もとの論文もちょっとだけ目を通しましたが,ポアソン回帰で固定効果モデルを推定しているみたいですね。
不勉強ゆえにもとの論文にまでなるとわからない部分ばかりですが(英語が読めないことも含めて),少しずつわかる部分を増やしていき,いつかは自分でも分析できるようになり,エビデンスが提示できるようになれればと思います。